低学年絵本『 わたしのそばで きいていて 』


小学校で読み聞かせをする機会が時々あり

あははっと笑える本が盛り上がっていいかなと思ったり

イマドキの子どもたちに、日本昔話も聞いてもらいたいなと思ったり

オーソドックスな童話も捨てがたいと、本選びには迷う事も多いです。


挿画も、はっと息をのむ色使いや

目が離せなくなるほど描き込まれた芸術的なものもあり

子どもたちに読んであげたいと思う絵本は

図書室のあちらこちらから、次から次へと発掘されます。


前回は、絵本の選び方について書きましたが

子どもたちに本当に伝えたいことが

堅苦しくないファンタジーの物語の中に凝縮されている

そういった絵本をたくさん紹介していきたいと思っています。


一方で、今日紹介する絵本は

今現代のリアルな学校生活に密着した

とても現実味のある身近なストーリーの中に

生きることのエッセンスを感じました。


字をよむのが

だいっきらいな女の子のお話しです。



『 わたしのそばできいていて 』

リサ・パップ 作

菊田まりこ 訳

WAVE出版


どれだけ嫌いかというと

「 字をよまないと選べないから

アイスクリーム屋さんのメニューだってきらいなほど。」


そんなわたし~マディはもちろん、国語の時間が嫌い。

みんなの前で、声をだして本を読まなきゃいけないってことが。



このお話しが、すーっと心にはいってくるのは

(おそらく子どもたちにもそうじゃないかと思うのですが)

いつもの教室での

当たり前のようにある日常の出来事が書かれているということに加えて


ずっとマディのしゃべり口調でおはなしが進んでいること。


誰にも言えない心のつぶやきを

誰にも見せない日記の中でだけは自由に溢れさせたような

そんな彼女の日記を読んでいるようです。


だから字を読むのが嫌いな子も

字を読むのが得意な子も

彼らが混在する教室で

読むことに誘いたい大人も・・・


マディの心に寄り添いながら、明るい希望を感じれる

そんな一冊だと、お勧めします。


この本の最後には

マディは大きな成長をとげて自信をつけ

みんながハッピーな気分になれるという

王道の成功体験のストーリー仕立てです。


特にそのストーリーの中でも、とりわけ私が強調しておきたいのは二つ。


一つは、マディを主にサポートしたのは

友達や先生や、人ではなかったということ。


もちろん、お母さんは大事な存在として登場しますけれどね。


周囲の人が言葉で励ましたり、応援したり

それが、大きな支えになることもあります。

ですがこのお話しでは、そういった言葉の励ましよりも

( 特に、若干トラウマやパニック気味になりやすい子どもたちにとっては )

大切なものが何か、支えとなるものは何か

それをそっと示してくれています。



そして、二つ目に強調しておきたいこと。


それは、人生には驚くような出来事が起きる!ということ。


自分の想像を超える出来事が

常識では考えられないようなびっくりするような出来事が

突然起こるものなんだ、それはあなたに味方するために!


そんなエッセンスを、子どもたちに感じ取ってもらいたいです。


あなたを応援するために、どこかから遠いところから

まったく関係ないところから送り込まれたドラえもんのように

そんな出来事って、日常に起こりえるんだよって。


だから

子どもも、お父さんお母さんも、周囲の大人たちも

そんなにあわてふためいたり、血眼になってなんとかしようと力み過ぎなくても

焦らなくても

大丈夫なのよって

幼いマディを通して、子どもたちにも大人たちにも届けたいメッセージが

魔法のように気持ちを軽くしてくれます。



奇跡のような出来事に遭遇し、変化のさなかにいる途中も

やはりちょっとしたスランプのような事は起こったりして

マディと一緒に、読者も寂しくなったり不安を感じたりもします。


でもやっぱり!


以前のマディでは思ってもみないような世界が

突然開ける時がくるのです。


良かったね、マディ。


それはきっと、汗と涙がにじむような本人の努力があったからとか

特別恵まれていたから、とかじゃない。


誰にでも

偶然の神さまが味方してくれる時がくるんだと


そんな出会いがやってきた時には

自分の心に正直に

素直に「うんっ」てうなづくことが大切だと


そんなことを、ありふれた日常の中で吹きこんでくれる一冊でした。


子どもたちにとって大切なのは、努力とか根性とか、規律とか

そんなのじゃない。


子どもたちが必要としている原点は、ここなんだよって

まだ幼いマディの心のつぶやきで、教えてくれています。


ぜひ、こちらもあわせて読んでみてくださいね。

◇ 絵本の選び方






にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村
↑↑
子どもたちのこと、一緒に考えてみませんか






この記事へのコメント